生まれ変わった「シドモアさんと百年の夢」

ずっと以前のメンバーブログ「サクラとハナミズキの物語(2)」で、JBSGのアドヴァイザーである神尾りささんが、ワシントンDCに桜が植えられるまでの長ーいお話を絵本にした、ということを書きました(2016年5月16日)。今回、その絵本が生まれ変わって2018年9月30日に印刷・発行されたので、そのことを書きたいと思います。

表紙を見ると分かるように、「文 神尾りさ、絵 西由美子」の間に「英訳 Laura Symborski」とあります。挿絵を大きくして絵本としての体裁を整えた上に、英文が加えられ、さらに漢字にはルビがふられているのです。扉に当たる1ページ目を見てみましょう。
ここにある出だしの文章は、以下のように始まっています。
このように、ほとんどの漢字にはルビが振られ、英文が添えられています。英語はとても分かりやすい文になっています。

もう少し長く引用してみます。4ページにある日本語の本文(ルビは省略)とその英訳です。

ときは一九〇九年のこと。アメリカで新しく、二十七代目め
の大統領が誕生しました。ウィリアム・タフト大統領です。奥
さんのヘレン・タフト夫人は、ホワイトハウスがあるワシント
ンDCの街を、美しくすることにしました。
そのことを知ったシドモアさんは、あることを思いつきまし
た。タフト夫人に手紙を書くことにしたのです。日本にある美
しい桜を植えて、ワシントンDCの街をきれいにしてはどうで
しょうと伝えました。
手紙をだしてから、たった二日後のことです。タフト夫人か
ら、シドモアさんに返事がとどきました。

「ワシントンDCに桜の木を植えるというアイディアをあり
がとうございます。ぜひ行いたいと思います。街の中に桜並木
をつくるのはどうかしら。水辺にうつることはないけれど、素
敵な街並になるのではないかと思います。あなたの意見をきかせてください。
一九〇九年四月七日 ヘレン・タフトより」

It was 1909. Mr. William Howard Taft became the 27th
President of the United States of America. His wife,
Helen Taft, decided she wanted to make Washington
DC a beautiful city.

When Miss Scidmore heard about this, she had an idea.
She decided to write a letter to First Lady Mrs. Taft. She
asked Mrs. Taft what she thought about planting Japan’s
lovely cherry blossom trees in Washington DC to make
the city beautiful.

Only two days after Miss Scidmore sent her letter, she
got a reply from Mrs. Taft.

The White House, Washington
April 7, 1909

Thank you very much for your suggestion about
the cherry trees. I have taken the matter up and am
promised the trees, but I thought perhaps it would be
best to make an avenue of them, extending down to the
turn in the road, as the other part is still too rough to do
any planting. Of course, they could not reflect in the
water, but the effect would be very lovely of the long
avenue. Let me know what you think about this.

Sincerely yours,
Helen H. Taft
英文の手紙の内容の方が、少し詳しくなっているようですが、これは実際の手紙を反映していて、日本語の方が少し省略しているのでしょう。いずれにしても、英語の手紙の書き方の参考にもなりますよね。

こうして物語は「サクラとハナミズキの物語(1)から(3)」で書いたように進み、最後のむすびは以下のページのようになっています。
絵本全体をここに載せると長くなりすぎるので、神尾りささんの許可を得て、絵本のPDF版をダウンロードできるようにしておきます。
「シドモアさんと百年夢」神尾りさ 絵本版20180930」

最初に述べたように、この絵本、それほど長くはないので、小学生の国語の副読本、中学生の英語の副読本になるかもしれませんね。漢字にルビが振られているので、日本の子供達に加え、世界中で日本語を勉強している人にも読みやすいと思います。優しいタッチの絵を描いた西由美子さんはJBSGの活動を応援して下さっている協力者の一人です。もしも絵本についてもっと知りたい、絵本を入手したいという方は、下記のお問い合わせ先まで連絡をしてください。

お問い合わせ:神尾りさ(kamiorisadesu@gmail.com)