日本で初めてのジャパンボウル大会

2017年11月5日(日)に、日本で初めととなるジャパンボウル大会が、京都外国語大学で開催されました。JBSGのメンバーは、2012年のワシントンDCでの全米ジャパンボウル大会の観戦を思い出しながら、京都外国語大学に赴きました。

初めは日本でジャパンボウル大会?と思っていましたが、日本に来ている滞在歴5年以内の留学生(高校生、大学生、大学院生、日本語学校の学生)を対象としたクイズ大会だと知り、合点が行きました。

この大会は、京都外国語大学創立70周年の記念事業の一環として、京都外国語大学日本語学科が企画したもので、当日は学生スタッフが企画する「ジャパン・ウイーク」が同時に開催されていました。会場は森田記念講堂で午前中に予選、午後から敗者復活戦、準決勝があり、午後3時から開会式、決勝戦、表彰式が行われました。私達は3時からの決勝戦を観戦しました。

開会式は、京都外国語大学のチアガールの皆さんの華やかな演技で始まり、男女2名の元気で若々しい学生さんが進行役を務めました。

主催者の挨拶や来賓の方々の祝辞の後、ジャパンボウルの名誉総裁、高円宮妃久子様のご臨席をもって決勝戦が始まりました。

大会の形式は全米ジャパンボウル大会に準じたもので、決勝戦は3チームで行われました。事前に大学のホームページ上に出題範囲が提示されていたとは言え、中にはかなり難しい問題も含まれていましたが、決勝戦に残ったチームだけあって、どの問題にも素早く回答し、なかなかの熱戦でした。
京都外国語大学のページからお借りしています)

出場チームには、それぞれ「風林火山」のような歴史好きを思わせるもの、「35億」「ほんまー」のように今の時代を反映したもの、とユニークなチーム名が付いていて、それぞれチームの特徴が出ていて楽しめました。決勝に残った3チームは、いずれも韓国、中国の学生さん達で、中でも優勝したチームの3名は、日本語はもとより、日本の様々な事を実によく知っていて感心しました。

全米ジャパンボウルは高校生が対象ですが、全日本ジャパンボウルは主に大学生、大学院生が中心ということもあり、会場の雰囲気は比較的静かでしたが、終始和やかな笑いに包まれていました。
京都外国語大学のページからお借りしています)

休憩時間に独唱があったり、閉会式では客席を巻き込んで全員で「ハナミズキ」の歌をうたったりと、この大会を教職員・学生が一丸となって盛り上げる試みが随所にみられ、全日本ジャパンボウル大会が、これから継続して行われることを期待して、会場を後にしました。

大学の発表によると19チーム、57名が参加し、中国、韓国、カナダ、イタリアの留学生の参加があったそうです。2016年のポーランドを皮切りに、急速に世界各地で開催され始めたジャパンボウル大会が遂に日本でも開催され、いよいよ次はジャパンボウル世界大会の開催に期待が膨らみます。

なお、全日本ジャパンボウル大会に関しては、以下のサイトに報告が載っています。
https://japanbowl.wixsite.com/kufs/report

世界各地に広がりをみせるジャパンボウル大会

こんにちは。ジャパンボウル・ディレクターの神尾りさです。ワシントンDC日米協会は、1992年から、米国ワシントンDCで「全米ジャパンボウル大会」を開催していますが、昨年からジャパンボウル大会はアメリカを飛び出し、世界各地で開催されるようになりました。今回はその展開について、ご紹介させていただきます。

2016年より東芝国際交流基金の支援を得て、欧州各国でジャパンボウル大会が開催されました。2016年11月にはポーランド、翌2017年3月には、セルビア、イタリア、イギリスでジャパンボウル大会が初めて開催されました。また欧州以外でも、2017年2月、メキシコにおいてジャパンボウル大会が開催され、米国以外のジャパンボウル大会出場者数の合計は300名にも及び、ジャパンボウルにとって飛躍の年となりました(下の方に、各国の大会の様子を載せてあります)。

欧州各国のジャパンボウル大会は、全米ジャパンボウル大会をモデルとして開催されています。外国語として日本語を学ぶ高校生または大学生が、2名または3名のチームとなり、日本語能力のみならず、日本の文化、習慣、歴史、地理、時事、対日関係などの幅広い分野について、その知識を競いあいます。私たちは、各国の主催者に対し、問題の提供、開催のためのノウハウなどをアドバイスしながら、ともに準備を重ね、大会当日には実際に現地に赴き、指導も行います。

欧州各地やメキシコのジャパンボウル大会では、全米大会と同様、予選の筆記審査の結果、上位3チームが決勝戦に進み(イギリス大会においては予選のみ行われました)、決勝戦は早押し、個人戦、チーム戦で行われました。出題された問題をいくつかご紹介します。

Q: 節分の日に、鬼に向かって投げるものは何ですか。
A:

Q: これは、清少納言の絵姿です。この人が書いた本で、 996 年ごろに出た本の名前は何ですか。日本語、またはポーランドで答えなさい。
A: Makuranosooshi / Zapiski spod wezglowia

Q: 除夜の鐘は、何回鳴りますか。
A: 108回

ジャパンボウルの目的は、外国語として日本語を学ぶ高校生または大学生に、挑戦的でなおかつ日本語学習を楽しめる機会を与えること、知識を試すのみならず、知識を得る場とすること、日本文化の体験や、日本人と会う機会などを提供すること、卒業後も日本語学習を継続し、日本との個人的関係を持続してもらうことなどです。

多くの学習者にとって、日本語を話したり聞いたりする機会は日本語の授業中に限られますが、そのような学習者が年に一度、各地から集合し、それぞれの知識を最大限に活用して切磋琢磨できるのが、ジャパンボウル大会の魅力です。

2017年11月には京都外国語大学の主催で、日本滞在が5年以内の留学生を対象にしたジャパンボウル大会が開催される予定です。また来年にかけて、新しくフランスやブルガリアなどでの開催も予定されています。

2020年の東京オリンピック開催の年には、全世界のジャパンボウル優勝チームが日本に集い、「知の祭典」を開始することを目指しています。

今後とも、皆様からのご支援、ご協力をお願い申し上げます。

2017年5月30日
神尾りさ
rkamio@jaswdc.org

######################

ポーランド・ジャパンボウル大会
開催日:2016年11月6日
主催:在ポーランド日本国大使館、ポーランド日本語教師会
会場:在ポーランド日本国日本大使館広報文化センター

メキシコ・ジャパンボウル大会
開催日:2017年2月5日
主催:国際交流基金メキシコ日本文化センター
会場:社団法人日本メキシコ学院

バルカン・ジャパンボウル大会
開催日:2017年3月26日
主催:ベオグラード大学、日本南東欧経済交流協会
会場:ベオグラード大学

イタリア・ジャパンボウル大会
開催日:2017年3月29日
主催:イタリア日本語教師会
会場:Instituto Virgilio, Milano

イギリス・ジャパンボウル大会
開催日:2017年3月31日
主催:ジャパン・ソサエティー (在ロンドン)
会場:マンチェスター大学

メディアによる紹介
2017年3月26日 セルビア現地ローカルニュース (PTC)
2017年4月  1日  時事通信

2017年度ジャパンボウル入賞者の日本研修旅行に協力(2)

1.入賞者歓迎レセプションに参加

7月25日(火)午後6時45分から、アメリカ大使館のアメリカンセンターで、ジャパンボウル入賞者、KAKEHASHI 研修旅行一行の歓迎レセプションが開催されました。このレセプションは、ワシントンDCの日米協会とアメリカ大使館の共催で、私達JBSGメンバーも招待され、高校生や関係者の方々と交流してきました。

今年はアメリカの政権が変わったせいか、会場内への持ち物が大幅に制限され、携帯電話やカメラの持ち込みが許可されなかったので、写真の撮影ができませんでした。そのため、レセプションの様子を写真でお伝えできませんが、高校生達は連日の猛暑にも負けず、お揃いのTシャツ姿で元気に会場に入ってきました。

ジェイソン・P・ハイランド首席公使の歓迎の辞、東京の日米協会会長藤崎一郎氏の祝辞、さらに、高円宮妃殿下久子様の歓迎の辞で、会場は大いに盛り上がりました。25年に及ぶジャパンボウルの活動が着実に実を結び、日米親善の役割の一翼を担っていることを、来賓の方々の言葉からも十分に感じ取れました。

ジャパンボウル入賞者で、現在日本で活動しているOBの方も招待されていて、何人かが後輩の来日を歓迎するスピーチを披露してくれました。彼らのスピーチの上手さは際立っていて、堂々とした姿に高校生達は憧憬の眼差しを向けていました。

その内の一人Tang-En Yenさんとお話することができました。彼は2008年のジャパンボウルに出場し、その後カリフォルニア大学デービス校でコンピューターサイエンスとエンジニアリングを学び、2014年に来日、楽天を経てkarabiner.incのDevOps(開発と運用)で開発に携わっている(当時)とのことで、ジャパンボウルの経験はとても貴重だったと、誇らしげに語ってくれました。

パーティーの間中、高校生達は彼の周りを取り囲み、皆の顔には笑顔があふれていました。高校生達にとって、日本で活躍する先輩達と直接話ができる機会が持てたことは素晴らしいことだったのだと強く感じました。

美味しいお料理を食べながら、日本語での会話を楽しみ、全員で写真を撮り、和やかなうちにレセプションは幕を閉じました。

2.ちゃんこ料理と江戸東京博物館見学

7月26日(水)、Kakehashi Projectsの一行は、午前中に研修旅行の報告会、総理官邸での表敬訪問を済ませ、成田から帰国の途に就きましたが、最上位レベル(レベル4)優勝2チームの5名は、28日まで東京に滞在しました。JBSGは、事前に東京でのホームステイ先を探す労を取り、26日の午後には数時間を使って彼らと一緒に過ごしました。

暑い真夏の東京で何処に案内しようかと思案した挙句、今年はJBSGメンバーに人気が高い、「江戸東京博物館」を見学してもらうことにしました。このプログラムには、24日の交流会にも参加して下さったJNSA「高円宮杯中学英語弁論大会」出場者OBの方々5名にも加わっていただきました。

両国にある博物館ですから、やはり昼食は両国でと考え、両国と言えば、国技館、お相撲という流れで、駅に隣接する「江戸のれん」内の「ちゃんこ霧島」でちゃんこ料理を食べました。

熱い鍋物で大丈夫かと心配しましたが、店内は冷房が効いていて、野菜、お肉たっぷりのちゃんこ料理は、バテ気味の体にも美味しく味わえました。

江戸のれんの中には実物大の土俵や、江戸情緒のあるお土産屋さんが並び、我々も喜んで散策しました。

食後徒歩数分で、江戸東京博物館に到着し、5階、6階の常設展で江戸時代の街並みや暮らしぶりを見てもらいました。江戸ゾーンでは英語のガイドをお願いし、小一時間、効率よく博物館内を動いて楽しんでもらいました。

その後、5階の東京ゾーンに移動し、江戸から東京へ時代の流れとともに変貌する様子を見学しました。東京ゾーンでは,JBSGのアドバイザーの久野明子さんに、案内と解説をお願いしました。

ここには鹿鳴館の模型があり、鹿鳴館の建物と庭園を上から見渡すことができます。さらに時間で建物の屋根がスライドしてライトがつき、なかで舞踏会のダンスが再現される仕掛けになっています。

会場が広いため、途中から集合場所を決めて自由に見学してもらいましたが、最後は全員相当くたびれました。(一人の学生さんが、博物館に入った直後から暑さと疲労のせいで気分が悪くなり、ずっと休んでいて心配しましたが、帰る頃には良くなり安心しました。)

江戸東京博物館見学終了後、5名の学生さんは、それぞれ3軒のホームステイ先までJNSAの学生さん達に付き添われて移動しました。

日本研修旅行も8日目となったこの日、うだるような暑さの中での江戸東京博見学が楽しかったのかどうか、元気な表情を見せてくれる優しい高校生達ですが、疲れが出ないかどうか少々気になりました。最後にまたいつか日本で会える日が来ることを願って別れました。